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| びわの木を見たことがありますか？ |
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| 子供の頃、私には食べた果物の種を庭に撒くという習慣(？)がありました。 |
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| それは植物に興味があったからとかではなく、 |
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| 単に庭に果実ができたらたくさん食べられるのではないかしら |
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| ･･･という、食いしん坊ゆえの発想だったと思います。 |
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| スイカや桃、サクランボにリンゴ。 |
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| 食べた果物の種を片っ端からせっせと植えていたような気がします。 |
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| よく言えば大らか、悪く言えば大雑把な母は、花の根がある場所を |
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| 私が掘り返しても気にすることなく、「またやってるわ」くらいに、 |
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| 見事に放置してくれていました。 |
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| しかし、そんな母が植えることを唯一許してくれなかったもの、 |
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| それがびわの種でした。 |
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| 怖い顔をして、 |
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| 「びわの木を植えると病気になるよ！縁起が悪いからやめて！！」 |
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| と言うわけです。 |
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| 子供心に、そりゃ大変だ！病気になったら困る！と思い、 |
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| 以後びわを植えようとはしませんでした。 |
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| 以来びわを食べるたびに、「こんなに美味しいのに縁起が悪いなんてもったいないなぁ」 |
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| と思うようになりました。 |
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| 確かに昔から「びわの木を植えると家族に病人がでる」とか |
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| 「びわの木は縁起が悪い」という言い伝えがありました。 |
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| ではなぜこんな迷信ができたのでしょう。 |
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| 実はびわの葉には、強力な薬効成分が含まれています。 |
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| その昔、中国ではびわの葉は万病薬として使用されており、その葉を求めて、 |
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| びわの木のある家に列を成したことから「病人ばかり集まって縁起が悪い」、 |
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| 「縁起が悪い木」とされたそうです。 |
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| 今でも漢方では、びわは、葉・種・根に至るまで有効成分として重宝されています。 |
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| ちょっとした迷信でも、紐解けばちゃんとした根拠があり、理由があるものなんですね。 |
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| おもしろいものですね。 |
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| ちなみに、なぜ食いしん坊の私がびわを植えることをあっさり諦めたのかというと、 |
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| 単にその迷信を信じただけではなく、 |
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| 実は通っていた小学校にびわの木があったことを発見したからです。 |
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| わざわざ母に叱られてまで家に植えなくても、 |
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| 近場に毎年美味しいびわにありつける場所を見つけたわけですから、 |
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| 素直に言うことを聞いたのは言うまでもありませんね。 |
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